2026/02/13 11:45

今年も木桶サミットに行ってきました。
毎年、小豆島で開催されるサミットで、全国から食に関わるバイヤーやメディア関係者などが集います。

小豆島のヤマロク醤油では、醤油の醸造に吉野杉の木桶を使っています。サミットの始まりは、木桶職人の技が継承されていないことに端を発します。

「このままでは、近い将来、醤油が作れなくなる」

危機感を抱いたヤマロクの蔵元がみんなに呼びかけて始まったのですが、

「待て待て、木桶職人の継承以前に、吉野杉の植林そのものが継承の危機に瀕しているよ」

という話になり、今や吉野杉の植林と山師の継承まで含めたサミットへと広がっているのです。


この木桶!150年も使われている木桶なんですよ。
もう、生きている感が半端ないですよね。そばで見ていると、生命が蠢いているのが分かります。この木桶には、樹齢100年の杉が使われています。

吉野杉は密植で栽培されるため、年輪がとても細かく、これによって調湿効果の高い木桶ができます。
職人は年輪を「壁」と呼んでいて、壁が多いことによって木桶内の環境が保たれるのです。また、杉には殺菌作用があるため、不要な菌が繁殖しにくい特徴もあります。

吉野の山に芽吹いて100年かけて育った杉が、木桶職人の手で木桶になり、そこから150年間醤油を醸し続け、最後は土に帰る。この杉は、木桶となって人の暮らしの中で250年生きているのです。
私も、生姜でこのくらい長いサイクルを生きたいと思って今の仕事をしています。

弊社の「発酵生姜シロップ〜木桶仕込み〜」も、この木桶のおかげで完成しました。
電気を使った温度管理なしで調子よく発酵が進む理由が、この木桶にあるのですが、分かりますか?笑

弊社の発酵生姜シロップは、特定の菌を添加して発酵させているわけではなく、生姜自らが持つ発酵する力で発酵を行っています。発酵過程で発する熱は、木桶の場合、桶全体を循環することが分かっています。ですので、桶内に部分ごとの差が出ず、均等に発酵が進むのです。これはステンレス容器では叶わなかったことです。


私は、目指すシロップを完成させるまでに何年もかかりましたが、その間、一番悩んだのが発酵容器でした。

現代はテクノロジーの力で多くのハイテク機器があります。温度管理ができる器具もあり、メーカーに私の要望をあれこれ相談したこともあります。しかし、弊社の規模では設備投資額があまりに大きすぎるのです。さらに、電力も使うため、背負う負担も大きすぎる。

食品製造は、まず設備投資から始まります。どんなに夢やアイデアがあっても、設備投資という壁の前で足踏みするか、諦めるかになってしまう。でも、私は絶対に諦めたくなかった。なぜなら、どこにもない生姜のシロップを作る自信があったからです。しかも、諦める理由がお金だなんて、私は絶対に受け入れられない。

それで昨年、取引先の信濃屋さんからお誘いを受けて参加したのが「2025年木桶サミット」でした。
この年は、全国から創業以来ずっと木桶で醸造を続けている酒蔵、味噌蔵、醤油蔵の蔵元が参加していて、「なぜ木桶なのか?」について聞きまくったんです。

それで、

「私が長年考え続け、探し続けてきた発酵容器は木桶だ!」

と確信しました。

設備投資は木桶代のみ。導入後に電気は使用しない。メンテナンスも難しくない。持続可能で、震災時にも強い。今、この先の時代を見据えて導入する設備としては、最高のものでした。

ここまで来たら、あとはやってみるしかない。そう思い、一つ目の木桶を職人に作ってもらいました。
そして実際に仕込んでみると、想像以上の成果が出ました。

やっと、長年の悩みが一つ解決しました。
しかも、多額の設備投資をせずに解決できたのです。

諦めなくてよかったと、心の底から思いました。
そして、私をサミットに誘ってくれた信濃屋さんには本当に感謝しています!!


そんなわけで、今年も良き出会いがあり、木桶サミットは最高に楽しかったです。

私は毎年このサミットに参加します。日本の食文化を本気で考える、気概のある職人や蔵元が集うこの会は、私の生姜にかける想いと重なります。

事業としてはまだ歴史の浅い駆け出しですが、有機生姜にかける想いだけは誰にも負けないつもりです。

これからも、出会う人たちから多くを学び、それを事業に活かしていきたいと思います。