2024/08/27 20:45
ある日、いつものようにメールチェックをしていた私は、上野動物園の飼育係からのメールに目が止まりました。
「野生のゴリラが生姜の茎を利き手で皮を向いて食べる行動があることがわかり、ならば、動物園生まれ、動物園育ちのゴリラが野生と同じ行動をとるのか否かを試してみたい。ゴリラの食べ物は、人とほぼ同じ安全基準あることから無農薬の生姜の葉を探していました。定期的に生姜の葉を納品してもらうことはできますか?」
私は思いもかけない問い合わせに驚きと喜びが入り混じってワクワクしました。
人の健康に寄与したいとの思いもあって、自然栽培の生姜作りを始めて、まさかその先で同じ霊長類のゴリラに食べもらえるなんて!
動物園のゴリラに生姜の葉を試みは日本初だそうで、初めて生姜の葉を手にしたゴリラが美味しそうに食べたとのメールが届いた時には本当に嬉しい思いがしました。無農薬で生姜を育てることは大変難しく、国内流通のわずか0.5%程度です。生姜の芋自体は残留農薬検査による接種許容基準値がしまされていますが、人が食べない葉や茎は農薬検査が行われていない為、安全性を鑑み無農薬の生姜の茎に限定して食べさせているそうです。今年も昨年に引き続き、上野動物園に生姜の茎を納品しています。無農薬の生姜栽培は本当に大変です。それでも続けている理由は、必ず無農薬の栽培技術が必要になる未来が来るとの確信があるからです。だから精一杯有機生姜栽培の技術向上に努めています。上野動物園の西ゴリラに納品できたことで、努力が報われる思いがしました。
生姜栽培では、年間30回の農薬撒布が許されています。生姜栽培期間は約半年ですので、栽培期間中はおよそ一週間に一回もの散布が許されていることになります。農薬散布は行わないに越したことはありません。有機生姜栽培は難しいと言われていますが、理論的にも実務的にも栽培可能な農法ですので、今後、栽培技術の向上と共に、無農薬の生姜の葉が私達霊長類の健康と発展に寄与してくれる事を願っています。