2023年11月に収穫した生姜で不具合のある生姜を「加工用」として販売することにしました。

今まで、SORANOSITAでは「加工用」で販売したことがありません。必ず、畑から掘り上げた姿のまま、土付きでお客様のお手元に届けてきました。それには私なりの強い意志があります。

まずは「洗うのは無駄な仕事」と思っています。何が無駄かというと、洗うのにコストがかかるからです。生姜を洗いで出すためには、洗浄機で洗うか、もしくは、人力で洗うことになるのですが、どちらにしてもコストがかかるので、洗いで出すと販売価格が上がるか、もしくは、人件費を下げる必要があります。これって本当に必要なの？と思う私は、創業時から土付き量り売り一本でやってきました。その分、生姜の姿の美しさにもこだわってきたんです。お客様が手に取った時に伝わる躍動感とか生命力などです。

次に、どの生姜も同じだけの愛情と手間をかけて育てた生姜なので、安く売りたくないという気持ちです。自然栽培で３反も作っていれば育ちに差が出ます。小さい生姜もあれば、大きく立派な生姜もあります。何やら悩み抜いて育った形の生姜もあれば、順調に規則的に育った生姜もある。虫に食べられた生姜もあれば、病気になってしまった生姜もあります。でも、それらは同じ生姜ですので、同じように売ってきました。それでも売れないものは私が加工品に変えてきました。原材料の単価は同じですので当店の加工品は高いかもしれません。

これらの考えは全て、一次産業の所得向上に繋げるための考えです。加工品が安いのは原材料が安いからです。同時に製造現場の賃金が安い。だから安く売れるのです。買う側はひと時いい思いをするかもしれないけれど、これでは一次産業従事者はいなくなります。

高いけど、

絶対に美味しい生姜を作る。

必ず自然栽培で安定して生産できる技術を獲得する。

そして自然栽培の生姜の生産者を増やす。

さすれば、自然栽培の生姜の生産量が上がり、

最終それは消費者に還元される。

このストーリーを確かなものにする為に、13年の月日を費やし、この先もずっとこの為に仕事をします。

2023年は病気にかかった生姜が過去一多い年になりました。今の当社の人員でこれを全て加工品にする時間は持てません。だから、皆さんに使ってもらえるよう加工用を販売します。風味は通常の囲い生姜と同じですが、部分的に切り身になっています。

先だって、卸で出荷した先の事業者の方に、昨年の生姜の不出来具合と、それ故に長期保存が難しい囲い生姜から出荷している旨をお伝えしたところ、どの事業者様も快く引き受けてくださって、心から感謝です。出荷調整をしながら一年を通して欠品することがないよう努めてまいりますので、引き続きどうぞよろしくお願いします。